ボーカルを消す・カットするアプリ・ソフトについて。
今から約20~25年ほど前は、CDが音楽メディアの中心の時代でした。そして、シングル全盛期とも言えるかもしれません。 シングルCDには、多くの場合、シングル楽曲と、その楽曲のインストゥルメンタル楽曲(カラオケ・バージョン)が収録されていました。 最近では音楽配信サービスなどの普及により、メディアを購入するよりダウンロード購入する機会が増え、カラオケ音源が少なくなってきました。 手持ちの音源からボーカルだけを消して、カラオケ用の音源を作ることが出来れば、ボーカル練習にとって非常に役に立ちます。 今回は、手持ちのデータ音源からボーカルを消したり、他にも役立つ機能を持ったアプリ・ソフトをご紹介します。

ボーカルを消す・カットするアプリ・ソフトについて。

1.スマートフォンのアプリ

(1)うたスマ - 持ってる曲で採点カラオケ

ボタン1つで、自分のスマートフォンに入っている楽曲から、ボーカルをカットすることが出来るアプリです。 歌った声を録音する機能、エコーを付加する機能、そして採点機能も付いており、ボーカル練習に最適のアプリです。 また、すべて無料で使うことが出来ます。

(2)ハヤえもん

スマートフォンに取り込んだ楽曲や、ドロップボックスに保存されている楽曲を使って、ボーカル・パートをカットすることが出来ます。 ボーカルをカットする機能は、「ボーカル・キャンセル」です。 また、楽曲のピッチを変えたり、速度を変更することも可能です。 プリセットで操作することが出来るイコライザー機能も付いていて、とても使い勝手が良いです。 月額料金がかかって自動更新されるので、その点は注意して下さい。

(3)SingPlay:MP3 カラオケレコーダー

こちらはAndroid専用アプリです。 ボタン1回のクリックで、端末の中に入っているリアルタイムでカラオケ・トラックに変換することが出来ます。 こちらのアプリにもテンポやピッチを操作することが可能で、ボーカル・エフェクトも付いています。

(4)KARAOKE BOY - 無料のカラオケアプリ

iPhone、Androidどちらも対応しているアプリで、このアプリも、端末に入っている楽曲から任意にボーカルをカットすることが可能です。 このアプリの特徴は、ステレオを保ったままボーカルをカットし、音質劣化も軽減されるという点です。 もちろん、キーやテンポの変更も自由に出来ます。

(5)最後に

今回ここで紹介したアプリは、何と言っても簡単に操作が可能な点です。 ボタン1つで簡単にボーカル・パートをカットすることができ、様々な機能も手軽に使うことが出来ます。 どのアプリが一番良いのか迷ってしまうと思いますが、無料で色々と試してみましょう。 まずは使ってみて、自分が一番しっくりくるアプリを見つけて下さい。

2.パソコンのソフト

(1)SoundEngineFree

フリーの音声編集ソフトです。 メニューから「ボーカルカット」を使用することで、取り込んだ音源からボーカルの部分をカットすることが出来ます。 ボリュームの調整、エコーやエンハンサー(音の増幅)などの詳細な編集も可能ですが、簡単に編集を行いたい場合は、「ライブラリー」からプリセットを選択すると良いでしょう。 女声ボーカル、男性ボーカルに分けて調整することも可能です。 フリーソフトでここまでの機能があれば十分だと思います。

(2)ボーカルキャンセラー2

先ほど書いたSoundEngineFreeは、ボーカル・カット以外にも様々な機能が使える音声編集ソフトですが、このボーカルキャンセラー2は、ボーカル・カットに特化したソフトです。 通常のボーカル・キャンセラーと異なり、ステレオを保つことが可能になっています。 そして、音質劣化も最小限に留めるため、変換時にパラメータを細かく調整することが可能です。 ボーカルを抽出したいWavファイルを取り込んで、「ボーカル抽出」か「ボーカルカット」を選ぶだけという非常にシンプルなソフトです。 インストール不要という手軽さ、そしてフリーソフトとは思えない性能の高さがポイントです。

(3)Audacity

こちらは音声編集ソフトで、ボーカルに特化したソフトというわけではありませんが、性能の高いソフトです。 ボーカルを編集するには、以下の通り指定していきます。 「メニュー>エフェクト>Vocal Remover(for center-panned vocals)」を選択します。 次に「Removal choice」を「Remove frequency band」に設定し、周波数を指定します。 また、このソフトでは、mp3を編集する機能もあります。 もちろん、このソフトを、mp3からWavへの変換ツールとして活用して、他のソフトでファイルを使用するという方法もありだと思います。 Audacityはフリーソフトですが、基本的な波形編集の機能はおおよそ備えていると思いますので、とりあえず持っておくと良いかもしれません。

(4)最後に

今回はフリーソフトで、ボーカルを編集できるものを紹介しました。どれも無料とは思えないほど精度が高いものばかりです。 操作性もよく、扱いやすいもの特徴です。 ぜひボーカルの練習に使用してみて下さい。

注意点

ここまで紹介してきたアプリやPCソフトは、完全に全ての楽曲のボーカルのみをキャンセルする、と言う訳ではないので注意して下さい。 現代のレコーディングやミックス機器を駆使しても、すでに録音されたものを完璧にリミキシングする、ということは不可能です。 これらのアプリやソフトは、「定位(Pan)が真ん中のものだけを消す」という原理で出来ています。 もちろん、これだけでは定位が真ん中にきているドラム・パーツやベースなども消えてしまいますが、人の声の帯域ではないものを感知して通過させるパス・フィルターが使われています。 逆に言えばボーカルの声が真ん中の定位ではなかったり、モノラル音源であったりすると、ボーカル・パートをキャンセルすることは出来ません。 そのような音源の場合は、諦めるしかないのが現状です。