boss syb-5のセッティングや音作りについて。

シンセ・ベースというと、一昔前のダンス・ミュージック全盛の時代によく聴かれました。

Boss SYB-3 Bass Synthesizerは、その後の時代に、エレクトリック・ベースでもシンセサイザーのベース音が出せるエフェクターとして発表されました。

そして、Boss SYB-5 Bass Synthesizerが、ベース・シンセサイザー・ペダル・エフェクターの第二世代として2007年にリリースされています。

前機種のSYB-3 Bass Synthesizerの一部の機能が削除されましたが、ピッチ検出の精度とスピードが格段に早くなりました。

Boss SYB-5のセッティングや音作りについて解説していきます。

普通のベースがシンセベースになれる・・・かも?

SYB-5の前身機種であるSYB-3も独特でかなり面白いエフェクターでした。

エレクトリック・ベースでシンセサイザーの音を出せるというのは、当時かなり衝撃的でした。

SYB-3は、シンセのいない編成のバンドでもシンセ・ベースが出せるので、例えばNew Orderの様なサウンドも、3ピースで近づく事が出来ます。

しかし、SYB-3はレンスポンスに不満がありました。これはギター・シンセと同様に、弦楽器のアナログ振動を拾うのが、当時の技術では限界だったのだと思われます。

SYB-5は、この点がある程度改善されていて、レスポンスは通常の演奏においては気にならない程度に改善され、音色も太いものになり、よりシンセ・ベースっぽくなっています。

また、SYB-3にはなかったエクスプレッション端子が追加され、別売のエクスプレッション・ペダルを接続する事でFilter Cut OffやLFOのRateのコントロールが可能です。

ペダル・エフェクターの感覚で、シンセのサウンドメイクが可能になりました。

Boss SYB-5 Bass Synthesizerの基本機能

SYB-5は、シンセ・モードが11種類と豊富に用意されていますが、シンセの事前知識がないと、ちょっと意味が理解できないかもしれません。

以下分かりやすく解説していきます。

・Mode

  • モード1:ノコギリ波。エッジの尖った音になります。
  • モード2:モード1の1オクターヴ下のノコギリ波です。
  • モード3:モード1のフィルターがオートで変化していきます。
  • モード4:方形波。ノコギリ波に比べると柔らかみのある音です。
  • モード5:モード4の1オクターヴ下の方形波です。
  • モード6:モード4のフィルターがオートで変化していきます。
  • モード7:パルス音が発音されます。モード1とは異なるエッジの尖った音になります。
  • モード8:オール・パス・フィルターを使用したパルス音が発音され、粘りとうねりが加わります。
  • モード9:パルス波の幅を変化させて、広がりや厚みのある音にしていきます。
  • モード10:フィルターの周波数が、弦を弾いた時にオートで高くなり、徐々に元の周波数に戻っていきます。
  • モード11:フィルターの周波数が、弦を弾いた時にオートで低くなり、徐々に元の周波数に戻っていきます。

そこまで詳しくシンセサイザーの知識がなくても、基本的な事項だけ抑えておけば、後は使っているうちに慣れてくると思います。

・Effect

シンセサイザーにおける音の基本的な知識について、以下簡単にまとめておきます。

  1. Sine Wave(正弦波)
  2. Triangle Wave(三角波)
  3. Saw Wave(ノコギリ波)
  4. Square Wave(方形波)

上記のうち、モード1~3がSaw Wave(ノコギリ波)、モード4~9がSquare Wave(矩形波、方形波、パルス波)です。

ノコギリ波は整数倍の倍数成分を持っており、ヴァイオリンや金管楽器などが音のイメージとして近いと思います。

それに対し、方形波やパルス波は、往年のファミコンの様な、チープでどこか懐かしいような電子音、と言ったサウンドです。デューディー比が長いものは矩形波・方形波、短いものはパルス波と呼ばれます。

これ以上の説明は音楽というより、音響や電子工学などの分野になってしまいますので、シンセサイザーの必要知識の程度に留めておきます。

もう少し知りたい方、興味が湧いてきた方は、「シンセ オシレーター」などで検索してみて下さい。

音や図形入りで解説しているサイトが多く出てくると思います。解説で使われている用語は難しいものが多いですが…。

実際の音

SYB-3に比べるとかなり本物のシンセ・ベースに近く、クラブやダンス系で使われるアナログ・シンセ・ベースの「ミヨミヨ感」がよく出ています。

また、和音を弾いてもしっかり解析してくれます。

シンセサウンドを狙ったサウンドメイクを行えば、エレクトリック・ベースの音だとは気づかないくらいです。

また、SYB-3では効きの悪かった、Low Bでもしっかり変化してくれますし、音痩せも実戦に耐えられるほど気になりません。

実際にサウンドを聴いてみたい方は、ぜひ「Boss SYB-5」で検索してみて下さい。

本当に多彩なサウンドを試聴する事が出来ます。

総論

非常に優秀で驚きのシンセ・エフェクトだと思います。

ギター・シンセであれば、ピックアップに専用機材をセッティングして、という価格も手間も非常にかかるものですが、ペダル・エフェクト1つでシンセ・ベースを再現出来ます。

一方で、多少のレイテンシーの遅れなど、本物のシンセサイザーと比べられると、少々厳しさはあります。

ただし、工夫次第でカバーして、「エレクトリック・ベースが奏でるシンセ・ベース」を表現する方法もあるかもしれません。

デメリットは、初心者の方、シンセの知識がない方は、使いこなせるまでに時間がかかるでしょう。

また、非常に多彩なサウンドを持っていますので、バンド・サウンドの中でどう活かせるかを考える必要があります。

シンセは全く使わないようなガレージ系であれば不要かもしれませんが、ロック系にダンスの要素を入れた音を出したい、というバンドなどは、ぜひ試していただきたいです。