ベースのオクターブ奏法の右手・左手のコツ。

ベースには、楽曲やジャンルによって、様々な奏法があります。

変わったところでは、ドラムのスティックで弦を叩く、なんていう奏法を使う方もいます。

ギターのように複数の弦を同時に鳴らすケースはあまりありませんが、ギターと似ている奏法もよく使われます。

今回は、ギターでも使われる、ベースのオクターブ奏法について、右手と左手の使い方のコツを書いていきます。

ベースのオクターブ奏法の右手・左手のコツ。

ベースのオクターブ奏法とはどんなものでしょうか。

言葉だけでは分からなくても、よく使われている奏法ですので、実際に音を聴いてみればすぐに分かると思います。

オクターブ奏法とは、4弦もしくは3弦で弾いた音と、その1オクターブ上の音を交互に弾くもので、ベースの奏法としては割とポピュラーなものです。

ちなみに、ギターのオクターブ奏法も同様ですが、ベースよりも弦の数が多い分、出せる音の数も多くなります。

また、ベースのように単音だけではなく、ミュートも混ぜてストロークで使われたり、2本の弦を同時に鳴らしたりと、幅は広いです。

ベースではダンス系の音楽、特にユーロ・ビートではベースラインとしてよく使われていますので、耳にしたことのある人も多いでしょう。

ロック・バンドの楽曲であれば、日本の楽曲で知られているものはチャットモンチーの「シャングリラ」やウルフルズの「ガッツだぜ」などでしょうか。

洋楽であれば、Rod Stewartの「Da Ya Think I’m Sexy?」辺りが有名でしょうか。

ベースラインに独特のウネリが生まれるので、非常に効果的な奏法です。

左手の使い方(左利きの場合は右手)

ピック弾き、指弾き、スラップ奏法など、ベースの弦の弾き方は様々ありますが、左手による押弦の方法は同じです。

まずは、ルートとなる音を人差し指で抑え、その1オクターブ上の音を薬指または小指で押さえるのが、オクターブ奏法の基本形になります。

小指を使うことができれば、フレットの範囲は広がりますが、押弦する力が弱くなってしまいますので、薬指とどちらを使うか、前後の音の進行なども考えて、総合的な判断が必要です。

A音であれば、4弦5フレットを人差し指で押さえ、その1オクターブ上の音である2弦7フレットを薬指(もしくは小指)で押さえます。

ダンス形のベースは、元々打ち込み主体でフレーズをループさせているので、ベーシストがプレイする場合は、その音色やリズム、アタックなどにも注意が必要です。

なるべく余分な力を抜いて、人間っぽさを出すのか、シンセサイザーのような正確さを狙うのかを考えて弾くようにしましょう。

また、弾いていない弦から指を完全に離してしまうと雑音が出てしまい、せっかくのオクターブ奏法が台無しになりますので、ミュートへの気配りも大事です。

弾いていない弦から、指は完全に離さずに、軽く触れた状態にしてしっかりミュートするか、中指を軽く触れさせてミュートしてください。

細かいことで、なかなか意識がいかないこともありますが、ミュートを確実に行うことが、すっきりしたサウンド作りに貢献します。

右手の使い方(左利きの場合は左手)

ベースにおけるオクターブ奏法の難しさは、弦を押さえる手の動きよりも、実は弦を弾く方の手にあります。

その理由は、弦飛び(4弦と2弦、3弦と1弦)で弾く必要があるからです

上下隣り合っている弦への移動が一般的ですが、離れた弦になると、僅か数センチでも、途端に難しく感じてしまうものなのです。

以下でピックでの弾き方、指での弾き方、そしてスラップ奏法での対処方法を書いていきます。

・ピックで弾く場合

ピックで弾き場合は、ルート音をダウン・ピッキング、1オクターブ上の音をアップ・ピッキングで弾くのが一般的になります。

これをオルタネイト・ピッキングと言い、オクターブ奏法に限らず、全般で使える基本的なピッキング奏法の一つです。

もちろん、すべてダウン・ピッキングでも構いません。その場合は力強さが増します。楽曲に応じて弾き分けられると良いです。

ただし、リズムに遅れたり、引っ掛かったりしないよう、しっかり練習しておきましょう。

ピッキングのコツは、挟まれた弦(4弦と2弦を弾いている場合であれば3弦、3弦と1弦を弾いている場合であれば2弦)を弾かないように、その弦を意識して弾くことです。

意識を持って繰り返し練習していると、無意識に距離感がつかめてくるでしょう。

また、人差し指の腹や中指でしっかりミュートすることも重要です。

・指で弾く場合

指で弾く場合は、親指をピックガードもしくはピックアップにセットして、低音弦を人差し指、1オクターブ上の音は中指で弾きます。

力強さを演出するのか、正確なリズムが求められるのか、楽曲によって微妙なニュアンスを出せるようにしなければなりません。

指弾きの場合、手首の角度によっては弾きにくくなる場合がありますので、無理なく弾ける角度を見つけておきましょう。

テクニックの基本的な考え方は、自分にとって、最も楽な体勢でプレイすることです。

・スラップで弾く場合

オクターブ奏法が最も適するのは、このスラップ奏法になります。

逆に言えば、スラップでの基本中の基本、プル時にオクターブ上の音を引くのが定番です。

基本形は、親指でルート音を叩くように弾き、人差し指で1オクターブ上を引っ掻くようにプルします。

もちろん、プルは中指や薬指でやっても構いません。

オクターブ上の音はプルではなく、親指でサムピングする場合もあります。

ブラック・ミュージックでは割と頻繁に使われており、単純にオクターブ奏法=スラップ奏法ではないことが分かると思います。

やはりスラップでも大事なのはミュートですので、余計な音が出ていないか、確認して下さい。

オクターブ奏法について最後に

オクターブ奏法は、弦飛びのピッキングの関係で、やり始め頃はかなり手こずるでしょう。

練習を重ねて、指に自然に覚えさせるのと、耳にその音を理解させる、ここまで来ればスムーズに弾けるようになっているはずです。

ギターのオクターブ奏法とは印象が異なる、ベースならではプレイですので、ぜひマスターして自分のプレイに取り入れていきましょう。

弦を弾く方の手のフォーム

ここでは、ベースの弦を弾く手について解説していきます。

ベースの弦を弾く方の手(右利きであれば右手)の指を、ピック弾きの時のように早く動かそうとしても、最初のうちはなかなか思うように動きません。

そして何度かプレイしているうちに、指も腕も疲れてしまいます。

どうすれば指を早く動かせるようになるのでしょうか?

まずは手のフォームを確認していきましょう。

・手の位置

素早いピッキングをマスターするには、ベースのブリッジ近くでピッキングするように意識してください。

これは、ブリッジに近い方が、弦の振れ幅が小さくなるため、素早い指の動作に向いているからです。

ただし、生音だと音量はとても小さいですので、正確な音を出せているか分かりません。

アンプやヘッドフォンを使って、音を確認しながら練習してください。

また、ピッキングの位置がブリッジに近いほど、音は固く(高域が効いた音)になります。

・弦を弾く場合は指先のみ

指を弦に深くかけすぎると、当然指が引っかかってしまい、早いピッキングは出来ません。

一般的に、ピックを用いるよりも指の方が、弦を弾くスピードは遅くなりがちです。

指でのピッキングの場合、極端なことを言ってしまうと、最初は弦の先を指でなぞるくらいの気持ちでやってみて下さい。

また、アンプの設定は、その状態で音が聴こえるように、普段より大きい音量にして下さい。

そして他のフレーズと合わせて弾いた時、不自然な音量差になっていないかも確認します。

アンプは確かにボリューム調節が可能ですが、第一次的な音の大小は、ベーシスト自身がコントロールするものです。

音が一定した感覚で出ているか、常に確認しながら練習しましょう。

・指の形はあまり変えない

指は、第二関節をある程度曲げた状態にしておいて、ピッキングする場合はその形を保ったまま、第一関節を曲げるイメージでやってみて下さい。

指を曲げ過ぎてしまうと、力が上手く入らなかったり、リズムがズレてしまう原因になります。

また、指の動きの幅も最小限にする必要があります。以下に効率よく移動出来るかを考えてみましょう。

力を抜き、力まない

ここまで書いてきたことを踏まえて練習するのですが、注意点としては、必ず生音ではなくアンプを通して練習して下さい。

住宅事情でアンプから音を出すのが難しい場合は、ヘッドフォンでも構いません。

先ほども書きましたが、実際の音を確認しながら練習することが大事です。

エレレクトリック・ベースは、生音だと音量が非常に小さいため、生音のままで練習していると、どうしても力んでしまって腕が脱力出来ません。

早く指を動かすためには余計な力を抜く事が必須です。

ピッキングの音量が小さくても聴こえるようにして練習しましょう。

練習方法

・用意するもの

まずは楽器を弾く以前に、正しいリズム感を身につけることが大事ですので、メトロノームを用意して下さい。

ガイドとなる音がない状態で早く弾く練習をすると、発音タイミングがバラバラになり、正しいリズムを維持することが出来ません。

ベースはドラムとコンビを組むリズム楽器であることも忘れないでください。

現在は、スマホのアプリでも無料のメトロノームがありますので、メトロノームがない場合はダウンロードして活用してみて下さい。

メトロノームを使う練習は、基本中の基本です。

・実際の練習方法

今回は右手のピッキングの速さと正確さを鍛えるものなので、左手のフィンガリングと同期は意識しないものとします。

初めはメトロノームのテンポを60位に設定し、それに合わせて同じ音で8分音符を刻んでいきます。

細かいですが、メトロノームには4分音符を刻ませ、自分で8分を弾くと良いです。

例えば、4弦5フレット(A音)か、3弦5フレット(D音)辺りが良いでしょう。

まず、拍のアタマにアクセントを置いて下さい。

ピッキングでは指を交互に動かしていきます。

通常は人差し指から動かし、次に中指の順番で動かしていきますが、中指から動かし、次に人差し指の順番でも構いません。

実際の演奏の現場を考えると、どちらからでも弾けるようにしておくのが良いと思います。

自分は、初めの頃は一般的な運指の仕方で、人差し指、中指の順番で弾いていましたが、途中で中指からのピッキングに変えました。

理由は中指からの方が、全体の演奏で力まないで弾けたからです。

ちなみに、3フィンガー奏法で有名なMr.BigのBilly Seehanは、薬指→中指→人差し指の順番で弾いているようです。

上記のテンポで練習していき、5分くらい弾けるようになったら、徐々にテンポを上げていくとより効果的な練習になります。

最終的にはテンポ250位で5分弾けるようになれば、かなりの曲で弾けるようになっているはずです。

技術的な練習はスポーツに近くて、持続力が必要になります。

頑張って毎日練習しましょう。

ベースを歪ませた時に起こる問題点と原因

続いて、ベースを歪ませて演奏するケースについて考えていきたいと思います。

ベースを歪ませると、主に以下の2点の問題が考えられます。

  1. 音痩せしてしまう。
  2. 音抜けが悪くなる。

最も重要な問題は、音痩せしてしまうことです。

これは音を単純に歪ませることで、ベースの重要な帯域である低中域が削られてしまうため起きる現象で、チープなファズをかました場合などによく起こります。

ベースの特徴でもある「力強さ」が失われてしまうので、聴いてすぐに分かるでしょう。

ギターでも同様なのですが、基本音を歪ませるということは低音がなくなる、と言うことです。

ベースの場合、ベースの低域の損失は、そのままバンド・アンサンブルでの低域の損失につながってしまいますので、低帯域をカバーすることが非常に困難になってきます。

これによって、バンド・アンサンブルの音が明らかに薄くなり、最悪ベースの音が埋もれて聴こえなくなってしまいます。

昔の自分の話ですが、自分のベース音を目立たたせようとファズを強くかましたところ、いざファズをオンにしてみると、自分の音が全く聴こえなくなってしまいました。

ファズをかましたベースはカッコ良く聴こえるはずでしたが、正しいサウンドメイクを行っていなかったために起きた現象でした。

自分のイメージでは、ここでドカンをカッコいいハードに歪んだ音を出したつもりだったのですが、ファズをオンにした瞬間に音が消えたのです。

これは歪ませ過ぎて音痩せし、ベースの音の芯が失われてしまったため、周りの音にかき消されてしまったのです。

では、どうすれば音痩せしないでベースを歪ませることが出来るか、自分なりの解決方法を述べていきます。

・解決方法1 歪ませ過ぎない

最も簡単な解決方法であり、最も基本的な注意すべき点です。

当たり前ですが、音痩せしない程度に歪ませることです。

アンプやエフェクターで、弱く弾くとほぼ歪まないように、強く弾いた時に歪みが出るようにセッティングをしてみて下さい。

実は、ゲインを深く設定しなくても、これだけでかなり音抜けが良くなります。

同じような例で言えば、ヘヴィ・メタルのギタリストはみんなかなり音を歪ませているようにイメージされますが、実は上手な人のセッティングを見ると、意外に歪みの量は少ないものです。

彼らは、エフェクトでの歪みを抑えめにして、コンプレッサーやイコライザー、その他のセッティングでしっかり音作りを行い、自身のピッキングの加減で歪ませているのです。

上手でない人、サウンドメイクが疎かになっている人は、歪ませ過ぎて音程が潰れてしまい、音の芯も失われ、ペラペラのノイズを流していることになってしまいます。

ギタリストも注意すべき問題ですが、単純に歪みを深くし過ぎると、何を弾いているのか、聴いている方は分からなくなってしまいます。

ベース本来の音をしっかり出せて初めて、その上に歪みを重ねていくことです。

・解決方法2 原音とブレンド出来る歪みを使う

先に挙げた方法が基本になりますが、実はこちらの方が簡単に解決することが出来ます。

歪ませた事によって低域が失われてしまっても、歪んでいない原音をその音に混ぜれば、そ失われた低域を補うことが出来ます。

ギターと異なり、ベース専用に設計されている歪み系のエフェクターは、この機能が付いている機種が多いです。

もし原音をブレンドする機能がついていない場合は、Boss LS-2のような、原音とエフェクト音をブレンド出来るように、ループ・システムを組んでみて下さい。

もしくは、簡易的なミキサーを中間にかまして、原音と歪んだベース音をレイヤーしていくのも良いでしょう。

それでも解決しない場合

ベースのサウンドメイクだけでも、解決しない場合もあります。

特に、バンド・アンサンブルのアレンジや、ギターやドラムとの兼ね合いで音が抜けてこないなどの現象が起こってしまう場合もあります。

まずは自分のベース・サウンドが音痩せしていないか、しっかり確認しましょう。

そして他のパートの音と帯域がぶつかっていないか、録音して後で聴いてみましょう。

もしくはアレンジを考え直してみる、というのも一つの方法です。