インディーズ・バンドマンの年収・収入の実情とは?

プロデビューしていないけどCDやiTunes等で音源を発売しライブ活動をしている所謂インディーズバンド。
彼ら彼女らの収入の実情ってどうなんでしょうか?

インディーズ・バンドマンの年収・収入の実情

INDEPENDENTがインディーズの語源です。大手のレコード会社と契約していないバンドのことです。収入源はライブでのチケット販売の売り上げ、CDやグッズなどの売り上げ、イベント参加時のギャラなどです。所属している事務所があったりすると活動方針などがあるため違いはあります。

ほとんどのインディーズバンドは収入などありません。あってもすべて活動費用として消えてしまいます。音楽活動を続けるほど赤字になっていくのはよくある話です。そのためにアルバイトをしながら生活をしつつ、そこから得たお金も、バンドの活動費に費やしているのです。バンドマンでなくても家賃、食費、水道光熱費は必要です。安アパートに住んだり、実家で暮らしている人もいます。機材の購入、メンテナンスやツアーを行えば移動のための交通費、宿泊費が必要です。いつもライブハウスを満杯にできるのならいいのですが、チケットの売上ノルマも待っています。売れなければ自腹で買わなければなりません。高い集客力を維持するのは簡単なものではありません。また売れ始めてくれば忙しくなり、アルバイトができる時間も少なくなってきます。

メジャーレーベルと契約しているバンドは多額な収入を得ているかというと、そうとは限りません。ある程度の活動費は負担してもらえますが、手取りの給料は控除項目も多いためたいした額を受け取っていない場合が多いです。その点ではインディーズの場合、売り上げを伸ばせば引かれる分も少ないため、手元に残る額は多くなるという希望はあります。ただしメジャーから契約のオファーがくるようなバンドでなければ儲かることは無いと言えます。またメジャーレーベルと契約しても2年が勝負だと言われています。契約金などほとんど無く、活動援助金程度のものです。売れないバンドにプロモーション費用などをかけてはいられません。

昔はバンド活動で収入を得るにはメジャーでのデビューが不可欠でした。

レコーディング費用もCDのプレス代も今より遙かに多くの金額がかかり、またそれを売るには全国のCD屋にリリースしなくては元が取れませんでした。

CDやグッズが売れても、制作費を差し引いて、会場に販売手数料などを払ったりしなければならず、売上と言うよりはプロモーション活動の一環です。メジャーレーベルに所属できれば、会社からの固定給や販売による収益は見込めますが、音楽だけで生活費を捻出できているのは、ほんの一部の人たちだけです。メディアに登場し1曲でもヒットすれば印税が入ってきますし、グッズの販売も大きなウエイトを占めています。

ところが現在はCD屋に音源が無くてもインターネットで販売も出来るしCDもその気になれば家で作れます。

ですので昔と違ってメジャーでなくても音楽活動で収入を得る事は容易になりました。
とは言えどれくらいの収入が得られるものなのでしょうか?

弾き語りミュージシャン

実は日本の場合、インディーズで一番生計立てやすい音楽形態は弾き語りです。

何故かと言うと日本の場合バンドでライブハウスで演奏する場合「チケットノルマ」を払わなくてはならない場所がほとんどです。(三軒茶屋ヘヴンズドア等無い場所もあります)

しかし、弾き語りの人が出る演奏する場所は飲み屋やライブバー等チケットノルマが無い場所で演奏するため、そのままダイレクトに収入になります。

彼らはだいたい月10回位演奏し、そこそこ集客が出来る人であれば、ワンステージ3~50,000円くらい稼ぐので月30万円は超えます。
また、当然自主制作での音源も販売する事でさらに収入を得ます。

ジャズ系ミュージシャン

弾き語りの人ほど簡単には行きませんが、音量が大きくないジャズ系のバンドも「チケットノルマ」の無い小さな場所で演奏できるので、こちらも収入が得やすいです。

3人位のコンボバンドであればワンステージで一人2万位になるでしょう。

また、生バンドが演奏されるようなレストラン等に呼ばれて演奏する事も多く、なるべく多くの場所で演奏できれば、十分な収入が得られます。

ロック系ミュージシャン

実はロック系のバンドが一番音楽を生計にすることが難しいのです。

ここで生計を立てられる人達は一回のライブで100人以上動員できる事が最低ラインだと思います。

そうした人達の場合、1回のライブで100万円くらい稼ぐわけですが、自分達のリハ代やツアーの場合は交通費、宿泊費も捻出するので額面は多くても実際の利益は小さくなります。

しかし、CD等音源が売れた場合はメジャーと違って売り上げの大部分が自分達の収入となるので一気に大金を手に入れる事が出来ます。

但し近年はそこまで大きく売れる事も少ないです。
ですので実際の年収が大きくても使えるお金は思ったより少ないです。

番外編

と、ここまで音楽で収入を得る話でしたが、音楽をしながら音楽ではなく収入を得ているバンドもいます。

ホストのように「太客」を捕まえて、その人達に生活費や活動費を負担させる人達です。

ライブハウスのノルマはその人達に支払わせて売上は全部自分達がもっていってしまうのです。

これだけで聞くとひどいだけのようですが、中にはそれを法人化して(当然社長はその太客)その人達の収入を得るような形にしていく人もいます。
まあそういう世界の人もいるという事です。

 

プロもしくはそれに準ずる音楽の収入がないバンドマンは、他に仕事をする必要があります。

もちろん中にはそれをしなくてもいい不労収入がある方もいますが、今回は音楽活動しながら他の仕事やバイトをしている、或いはこれからするという方に向けての記事です。

バンドマンについて

一言で言うには難しいので、バンドマンを下記2種類に分けて、それぞれについて考えます。

1.平日もライブを月に3本以上は最低やり、リハは週2~4回はやる「ガチ系バンドマン」

2.土日中心の活動でリハは多くて週1回、ライブは多くて月1回の「週末バンドマン」

では順番に書いていきます。

平日もライブを月に3本以上は最低やりリハは週2~4回はやる「ガチ系バンドマン」

このタイプのバンドマンの場合優先されるのはスケジュールやシフトのシフトの融通がきく事が一番の優先事項です。

そうでないと、ライブやリハの時にバイトから抜けられないという事態になりかねません。
また、可能であればバイトでも音楽に携っている方がいいですよね。

そういった方にオススメは「リハーサルスタジオの店員」もしくは「ライブハウスの店員」です。

音楽活動の理解も得やすく機材の知識も増やす事ができ、さらに人脈を広げる事も可能です。
但し時給は安いところが多いので、たくさん働かなくてはならなくなります。

音楽関係でなくてもいい場合おすすめなのが倉庫や工場でのバイトです。

こちらは夜勤等の場合は時給も高く時間も基本決まっているので音楽活動への融通がききます。
ただし、夜勤はあまり連続でやると体調が悪くなりやすいので気を付けましょう。

実はアパレルとかもわりといいのですが、下手に出世して店長クラスになったりすると今度はシフトの融通が利かなくなってしまいます。
実際そういったケースを見た事があるので出世は避ける必要があります。

余談ですが日本のバンドGLAYのメンバーがアマチュアの頃、みんな真面目にバイトしていたので主任とかになってしまい、スケジュールが合わせにくくなった事があるそうです(その日主任会議だとか)。

バイトはあくまで生活の手段であって音楽活動に支障きたしては本末転倒です。
気を付けてください。

土日中心の活動でリハは多くて週1回、ライブは多くて月1回の「週末バンドマン」

こういう活動をしているバンドの場合一番優先されるのは「土日が確実に休める」という事です。

メンバーの一人が土日休めないと実質バンド活動できなくなります。
ですので、案外普通の会社での仕事が一番おすすめだったりします。

ロンゲやピアス、或いはタトゥー等がある場合難しい場合もありますが、新しい会社で尚且つ人前に出ない仕事場の場合はその辺OKのところも少なくありません。
そういったところを見つけるといいかと思います。

「ガチ系バンドマン」「週末バンドマン」どちらも対応可能な「フリー」

自分が音楽以外の技術(プログラムやデザイン)がある場合、フリーで仕事する方法もあります。

もちろんその技術でバイトする方法もありますが、締め切り前等は時間が取れなくなる等の弊害があります。
仕事を取ってくる事が少々大変ですが時間の融通はかなり利きます。

実際自分の知り合いにフリーのプログラマーや翻訳家、或いはライタ-をしながらバンド活動している人達がいます。

どんな形でバイトするにせよ、必ずバンド活動に支障をきたさないように心掛けてバイトに励みましょう。

バンドマンは就職・転職出来る?するなら何歳までにした方がいい?

自分の音楽が結果として売れず、音楽を止めて他の仕事に就くケースは珍しい事ではありません。
むしろ一番多いケースです。

では、音楽に見切りをつけて就職・転職するのであれば何歳までにした方がいいのでしょうか?

昔は30歳がひとつの基準だった。

昔は音楽活動に見切りをつけてまっとうな仕事をするためのボーダーラインは30歳でした。

だいたい1970年生まれの人達までがそんな感じです。

ですので、今50歳過ぎの人でバンドやっている人は一度音楽を止めて就職し、子供が育った後にまた始めている人がほとんどです。

プロ以外でかつ1970年生まれ以前の人で音楽をずっとやり続けている人は稀です。

ですが最近は30歳でのボーダーラインはあまり聞かなくなりました。
では今のボーダーラインはどの辺なのでしょうか?

大企業への就職をしたい場合

日本の場合、特別な資格が無い限り大学を出てすぐに就職しないと大手の企業に就職する事は出来ません。

ですので、大学入学後に本格的なバンド活動を行い、そこで目が出なければ早々に見切りをつけて就職するしかありません。
ここで見切れない場合は就職・転職の条件はかなり厳しくなります。

特別な資格・技術がある場合

特別な資格や技術がある場合は大企業でなくてもある程度の収入を得る事が出来ます。

業種にもよりますが、そういった場合は35歳くらいがひとつの目安になると思います。

流石に多少そういったものがあっても、あまりにも年齢が高いと将来性が見込めなくなってしまうからです。

特別な資格・技術も無い場合

大学卒業時に就職せず、バンド活動にあけくれた場合就職・転職に有利な年齢は無いに等しいです。

でも、あまりにも年齢が上だと就職は困難です。

こういった人達は自分でバーやライブハウス、ライター等のフリーランスでの仕事に就くケースが多いようです。

実際元ミュージシャンなライブハウスやバーは多いです。
相撲の力士が引退後ちゃんこ鍋屋を開くのとちょっと似ていますね。

例えばライブハウスだとそれまで培ってきた音楽の経験や知識を生かせますし、ロックバーであれば、同じ頃に音楽やっていた人達や、その頃のバンドを見に来てた人達も訪れたりします。

また、同じように音楽の知識と経験を生かして音楽ライターになっている人もいます。

バンドマンを続けるなら何歳までにすればいいか

結局のところ20代にバンド活動に明け暮れると就職に有利になる事は絶対ありません。具体的な目標を立てることが必要かもしれません。いつまでにCDを作る、何枚売る、どれだけライブを行う・・・目標が達成できなかったら今後の人生を考える時期だということです。

ただ若いうちに何かしらの資格を取得しておけばリスクは減らす事は出来ます。
でも、そんな事を考えずに自分が納得できるまで音楽を続ける覚悟がある方が、結果的にいい音楽を作れると思います。

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