ギターのアームの種類と使い方について。

ギターの下部に取り付けられているアームとは、弦の張力に関係しているブリッジやテイル・ピースを連続的に可変(上下)させることで、音程を連続的に変化させることが出来るアッセンブリーです。

最も良く知られているのは、Fender Stratocasterに取り付けられているアームでしょう。

音程を連続的に変化させることを「ヴィブラート」と言います。

フレットを押弦したまま弦を鳴らして、細かくベンドを連続するプレイでもヴィブラート効果は得られますが、アームを使うことで可変する音域をより広くすることができ、音を伸ばす時の余韻だけでなく、トリッキーなプレイにも使われます。

このアームのユニットは10種類くらいありますが、代表的なものを紹介していきます。

Bigsby True Vibrato

1940年に、Paul Bigsbyによって開発された、世界初のアーム・ユニットです。

Paul Bigsbyは、バイクの部品からアイディアのヒントを得たそうで、滑らかなヴィブラートを望む当時のギタリストの要望に応えて製作されました。

Bigsbyのアームというと、真っ先にイメージされるのは、Grestch 6120に取り付けられたものでしょう。

他にもGibson Les Paul、ES-335など、Fender Telecasterに取り付けられたものもあります。

見た目が大きく、なかなかインパクトがあり、メカニックな形をしています。

特徴は、ギター本体を改造する必要がない、サウンドでは自然なヴィブラートが得られる、という点です。

逆に、後の時代に登場するSynchronized Tremoloと比べると、可変幅はかなり小さいです。

それは、Bigsbyが登場した時代の音楽にあります。1940~50年代のアメリカでは、JazzやCountry、Modern Bluesなどが誕生し、流行していました。まだ後の時代ほど、激しい音楽的変化は見られません。

Bigsbyのアームは、テイル・ピースのベアリングが連動して動く仕組みになっているため、大きくても全音程度しか上下できません。純粋にヴィブラートを行うための道具ですので、この可変域の狭さが、逆にオールドな味わいを加えます。

ただし、チューニングが狂いやすいのが欠点ですので、弦を張り替えた際は、よくギターに馴染ませてください。

アームの操作性は、スプリングですので、比較的軽くて安定しています。

Synchronized Tremolo Unit

Fender Stratocasterに取り付けられているヴィブラート・ユニットです。

余談ですが、Fenderはこのアームに「トレモロ」の名を付けていますが、ここまで何度か書いているとおり、「トレモロ」ではなく「ヴィブラート」です。

これは固有名詞としてこのまま覚えてください。

Synchronized Tremoloは、Bigsbyに比べて音程変化の幅がとても大きく、チューニングの狂いも比較的少ないです。

テイル・ピースとブリッジが同時に動くのが最大の特徴です。通常はアーム・ダウンしか出来ませんが、内蔵スプリングと関連するユニットを調整してフローティングさせる事で、アーム・アップも可能になります。

Synchronized Tremoloは、Fenderの創始者であるLeo Fender氏が、Stratocasterの開発とともに誕生させたものですが、当然Leo FenderはBigsbyのようなナチュラルなヴィブラートを狙って製作していました。

ところが、1960年代の後半、開発者Leo Fenderも含めて誰も想像出来なかった使用をしたギタリストがJimi Hendrixでした。

彼はFuzzとMarshallを組み合わせた大音量の歪んだサウンドで、もはやノイズと言えるほど音程感を失ったギター・サウンドを、アーミングによって見事にコントロールしたのです。

Hendrixのこのプレイによって、ストラト+アームは、世界的に爆発的なヒットをもたらしました。

その後、チューニングの不安定さは、ロック式のペグやローラー式のナットを使うことで少し改善されていました。

最近のFender American Standard Modelでは、従来の6本の木ネジ支柱方式から、2本のアンカー・ボルトを支柱とする方式に変更され、チューニングはさらに安定しています。

このように、様々な改良が重ねられて現在に至っています。

アームの操作性は比較的軽めです。引っ張り過ぎて弦を切らないように注意しましょう。

Floyd Rose

ギタリストでありエンジニアでもある、Floyd D. Rose氏によって、Synchronized Tremoloを参考に開発されたヴィブラート・ユニットです。

ロック・ギター界では、最も優れた発明の1つ、とされる場合も多いです。

Synchronized Tremolo以上の激しい音程変化にも関わらず、チューニングは狂わないもの、という目標の元に制作されたようです。

初期ユニットのシリアル・ナンバー1は、Eddy Van Halen、2はNeal Schon、3はBrad Gillisが所有していると言われています。

原理的には、弦をナット部とブリッジ部でロックし、これらの部分をしっかりとネジで固定することでチューニングの狂いをなくしています。従来のシステムでは避けられなかった問題点ですが、これを解消することに成功しました。

ユニットの視点は、2点式となっており、鋭角に成形されているため、支点のズレや摩擦の発生が少なくなり、結果的にチューニングを安定させています。

ただし、弦の張り替えやメインテナンスなどについては、初心者にはなかなか難しいです。

アームの操作感はSynchronized Tremoloと比較して重さがあります。

基本的なアームの使い方

・アーム・アップ

アームを引っ張り上げることで、音程を上げます。

ベンドやスライド・アップとは全く異なるニュアンスで音程が上がります。

弦を弾きながらアーム・アップを行うには、少々慣れが必要です。

・アーム・ダウン

アームをボディへ押し当てるような感覚で下げることで、音程を下げます。

こちらも押弦のアーティキュレーションとは違った効果が得られます。

可変域の広いアーム・ユニットであれば、低音弦で上手くコントロールすることで、Jimi Hendrixのような爆音・重低音を操作する事が出来ます。

・アーム・ビブラート

アームを細かく上下させることで、ヴィブラートをかける事が出来ます。これが本来の用法です。

ユニットをフローティング状態にしておく事で、原音に大して上音も含めたヴィブラートが可能になります(アーム・アップが不可であれば、原音と下音で揺らすしか出来ない)ので、アーム・ユニット独特のヴィブラートをかける事が出来ます。

・クリケット奏法

アームの先端を引っ掻くように叩いて発音させます。

ちなみに、クリケットとは「こおろぎ」の事ですが、由来はスポーツのクリケットのようです。

最後に

アームを使用しているギターでは、弦が切れるとチューニングが全て狂ってしまう、ゲージを変更するとスプリング等のユニット調整が非常に面倒、などの問題が付いてきます。

鉛筆の芯などを使って、滑りを良くするという方法もありますが、アームを多用し過ぎた場合、最後にはナットを交換しなければならないほど擦り減ってしまいます。

アームのメインテナンスや奏法を習得するのは、なかなか大変です。Eric Claptonのように、Stratocasterを使っていながら、アームは一切使わない、というギタリストもたくさんいます。

ですが、Hendrixが示したように、ピアノのように音程がきっちりと固定された楽器では絶対に不可能な、本当の意味での自由な音程変化(12音階以外の音)が可能になります。

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